第36章 距離感
「とりあえず離してください。子供達が見てますので教育上よろしくないです」
石切丸「素直じゃないなぁ……」
そう言いながらも離してくれると私はとりあえず距離をとる。
危険人物としてインプットでもしようかな。
「き、距離感というものを考えてください!私とあなたは主と刀……それ以上でもそれ以下でもない」
石切丸「すごい警戒されてるけど何かしたかな?」
わからないなぁ、みたいな顔をされるとちょっとイラッとする。
落ち着け……この人は私の反応をみて楽しむ人種なのだ。
深呼吸を繰り返して石切丸さんを見る。
何度も言うことではあるが……顔がいい。
「座ってください。石切丸さんは……大きいので首が痛くなります」
石切丸「……主、もう一度言ってくれるかな?」
「え?……座ってください?」
石切丸「そのあとのこと」
「……石切丸さんは大きいので…………!?」
聞こえなかったのだろうかと繰り返し言うが、私が言ったあとに少し嬉しそうにしている顔をしたので、すぐにどういうことかわかって顔が赤くなる。
「な、なに考えてるんですか!変態!」
石切丸「いや、わかってるよ。私の身長が高いからって言いたいのは」
「わ、わかってるんなら……ッ…も、もうとにかく座って!」
和泉守「あんたら本当、仲良いな……」
「っ……そ、そんなことは」
近くでお茶を飲んでいた兼さんにそう言われ私はその場に正座をした。
恥ずかしい……。
堀川「仲が悪いよりかはいいじゃないですか。はい、兼さんのために淹れてきたお茶ですけど、どうぞ」
「……有り難くいただかせてもらいます」
横にいる堀川くんから兼さんのために淹れてきたらしいお茶の湯飲みを受けとる。
言葉にちょっとトゲがあった気がしたが、お茶をわけてくれるということは……嫌々ってわけではないのだろう。多分。
ずずっと啜って飲むと、ほどよい苦さにホッとした。
美味しいな……。