第28章 お預け ☆
「少し、休めば大丈夫……だから」
五虎退「あるじさま……」
しょんぼりとしている姿も可愛いのだがそんなことを考えている場合でもない。
本気でやばくなってきたかもしれない。
気持ち悪いような熱くて……変な感じがする。
唇でも噛めばなんとかなったり……いや、痛いだけかもしれないな
宗三「こんなところで何をしているんです」
来ちゃいけない大人がきた……。
五虎退「あ、あの……あるじさまは気分がわるいみたいで……」
宗三「病人なら部屋に籠っていればいいものを……っ……なんですかこの臭い匂いは」
「く、くさ……っ」
甘い香りだとは言われたりしたが臭い何て言われたのは初めてだ。
そうなるとこの匂いは私が出しているわけだから私が……なんか泣きそう。
「……休んでから部屋に戻るので……私のことは気にしないでください」
宗三「そうですか。では……」
五虎退「え、あ……ま、まってくださいっ……あるじさまをお部屋まで……その」
何事もなく去ろうとする宗三さんを止めたのは五虎退君だった。
優しさからなんだろうけど……今は本気で困る。
「五虎退くん、私は大丈っ……く、ぅッ……」
五虎退「あ、あるじさま!」
泣きそうな顔で私を見る五虎退くん。
目眩と吐き気と熱さで本気で無理……。
宗三「……はぁ、部屋までですからね。立てますか。立てないとしても僕は彼のように貴方を抱き上げるなどしませんからね」
「っ……た、てます……五虎退くん……悪いんだけど……先に部屋に行って机の上にある飴玉のはいった瓶を持ってきて」
五虎退「は、はいわかりました」
自力で立つと下だけを見て壁伝いに歩く。
ここで飴玉を待っていた方がいいが、ここにいても犠牲者を増やすことになっても困る。
下唇を噛むと、まだ治ってなかった傷だったので痛みを感じると目が潤んでしまう。
でも、これくらい我慢しないと……