第27章 遠征
「絶対、ぜーったい無理したら怒るからね」
燭台切「わ、わかってるよ……あはは」
鶴丸「何十、何百と聞いたぞ……君は心配性だなぁ」
しばらくしてから玄関でみんなを見送るつもりが、私は何度も無理をしないようにと告げた。
他の本丸の審神者はどんな思いで彼らを見送っていたのだろう……。
人を見送ることすら苦手なのでとても心配になる。
この本丸を一歩出ただけで怪我したりしないだろうか。
迷子になってここに帰ってこれなくなったり……
「やっぱり心配だよ……やめる?」
鶴丸「今さらやめられるか……」
「だよね……みんな、本当に気を付けてね」
乱「大丈夫!ちゃんと帰ってくるから、ね?」
「うん……まんばちゃんも気を付けるんだよ?」
山姥切「あぁ……あんたも……」
「も……?」
山姥切「……何もない」
何も持たずにいくわけではないし、彼らも弱いこともないので本来なら心配しなくてもいいのだろうが私からしたら三歳の子供をおつかいに行かせるくらい心配なのだ。
もし、知らない人に誘拐されたら……それはないか。
「ふぅ……よし、じゃあいってらっしゃい!」
燭台切「行ってくるよ」
鶴丸「おみやげ期待してるんだぞ!」
堀川「主さんのためにいっぱい拾ってきますね」
「変なもの拾ってこないでね」
燭台切さん、鶴さん、まんばちゃん、乱ちゃん、堀川君とハイタッチをしながら見送ると最後に……
「石切丸さんもいってらっしゃい」
石切丸「……そんな泣きそうな顔で見送るものじゃないよ」
「うわ、そんな顔してますか……みんなが元気でいてくれることが今の私の願いでもありますから、この事がきっかけで笑顔が消えたらと思うと心配なんです」
初めてあったときの彼らは警戒や怯え、恨みなどいろんな感情が感じ取れるほど心が弱っていた。
私はまだ何もできていないが、彼らのために休息を優先したいのに……