第27章 遠征
~大広間~
鯰尾「だいたいは集められましたよ!」
大広間にはそれなりの数の刀剣男士が座って待っていてくれた。
燭台切さんとわかれてから粟田口の部屋に向かって鯰尾にみんなを集めるように言ったのだが……まさか誰にも頼らず一人でやるとは思ってもみなかった。
「鯰尾……本当、ごめん……そんなぼろぼろになってみんなを集めてくれたこと心から感謝します」
何があったのか聞きたくなるくらい鯰尾はぼろぼろな姿で立っていた。
本当に何をしたらそんなにぼろぼろになるんだ……。
鯰尾「別にいいですよ。木に登ったり屋根に登ったり軒下潜ったりしただけなんで」
「みんな何してるのかな……?」
木登りは……百歩譲って遊びでするとしても屋根に登ったりはしないだろう。
特に軒下って……何をしていたんだ
何があったのかあえて聞かず、感謝としてハグをしながら霊力を流し込んでおく。
近いうちに何か美味しいものでも食べさせてあげよう……
「それじゃ……え、えーっと……遠征に行ってください!」
鯰尾「いや、主。それは説明不足どころの話じゃないですって」
「じ、じゃあ……お金がないので遠征に行ってほしいです!」
鯰尾「主って……」
鯰尾は生暖かい眼差しで見つめてくる。
わかってる。
言いたいことは、その目からすごく伝わってくる……今まで目立たず地味に生きてきた私にはたくさんの人の前に立って何かを話すというのは苦手なのだ。
こう見えて上がり症な面もあるために恥ずかしさと胃痛で口からレインボーを出してしまいそうになるほどだ。
鯰尾「俺が言ってもいいですけど……ここは主に任せます。ほら深呼吸をしてゆっくりと言えば伝わりますから」
「う、うん……我が本丸は、現在いろんなものが欠けています!まず、資材。軽傷の子ですら手入れできないくらい資材には困っております、そしてお金、現在お酒の一本も買えないくらい困っております……というわけで二十分ほど遠征を頼みたく思います」
言えた。
うん、言えた言えた。