第26章 落ちました
「それじゃ、三人は食堂……うん、食事処に向かってて?私はちょっと庭の方見てくるから」
蛍丸「主、庭で何すんの?」
「主としての仕事をするための下調べ、かな。私もすぐ行くから先に行ってて。ほら明石は保護者なんだから二人を頼みますよ」
明石「転ばんといてくださいね」
「転ばないよ……」
裸足では外には出られないので縁側のそばにおいてあった……草履?
昔ながらの草履を見つけたのでそれをお借りすることにした。
古いのかすっごい歩きづらいけど、この際文句は言えない。
庭に出てから周りを見るがこれだっていう目立つ目印らしきものがない。
政府の人からもらった見取り図らしきものにも目を通さないといつまでたってもどこになにがあるのか把握できないな……迷子にはなりたくないのだが、こう……庭にも目印がないとなんとも不安な……
「ここは……畑、には小さいから花壇かな?」
手作りと思われる小さな花壇を見つけた。
こういうところがなんだかあったかいと感じられるな……。
明石達の部屋から西側にお風呂があるから……いや、東?え、あっちは南だっけ……
東西南北もわからなくなるが、誰かに説明する機会もないはずなので、自分がわかっているならそれで納得した。
「てことは……こっちに回れば……馬小屋、か……」
その場から離れて進んでいくと明石達の部屋とは逆の庭には馬小屋などがあった。
そしてそこには人影……
「だ、誰かいるの?」
山姥切「……またあんたか」
「あ、まんばちゃん」
山姥切「ちゃん……俺が写しだからか……」
「まんばくんのほうがいいかな……気分で呼び方変わるかもしれないからそこのところよろしくね」
ジャージ姿に、頭には布。
あの布は取れるのだろうか……髪にくっついていたり、いや……そうは思いたくない。
どうやらまんばちゃんは馬に餌をあげてくれていたようだ。
本来なら私がしなきゃいけないのに……馬当番とか早く決めてあげなきゃまんばちゃんがお世話係に定着してしまいそ……というか、なぜ我が本丸に馬がいるんだろう。
誰かがこっそり飼ってきちゃった、みたいな話では済まないと思うのだけれど……ま、いっか。