第19章 穏やかな日
「はてさて、本題に入ろうか。丸様はいったいなんのご用で?」
石切丸「聞きたいことがあってね。なぜ本丸を変えたのか……本来、よっぽどの理由がなければ本丸を変えるなんてことできないはずだと思ってね」
「首飛ぶの覚悟でやりましたよ。まさか審神者を殺して誰一人として消えない、祟り神にもならないなんて……異常な本丸だ。いや、あの審神者が異常だからこそ降ろされた刀剣も異常って枠のうちに入ったんだろうな」
こんのすけの情報で一つの本丸の審神者が死んだ、殺されたと聞いたときは耳を疑った。
神隠し、賄賂疑惑、刀剣破壊、そんなことはよく聞くが刀剣が審神者を殺して何事もなく生きていることが信じられなかった。
そして、求められたのがあの子を審神者として来させること……。
はじめからなにもかもが狂った場所に呼ばれたあの子にはせめて幸せになってほしいと思った。
俺の思う幸せと彼女の思う幸せとはまた別かもしれんけど。
本当は本丸を変えるなんて難しい話だが審神者殺しの本丸、穢れ等を理由でなんとか刀剣男士をそのままにあの本丸から他の本丸に移すことができた。
一年分の減給はされたが……あの子のためや。
あのままいたら、穢れにやられて永遠と目が覚めない眠り姫になっていたことだろう。
「個人の審神者とこれ以上親しくすれば本気でやめさせられる……だから、あの子には頑張ってもらうしかないが……泣かせるなよ丸様」
石切丸「君には関係のないことだと思うけど」
「穢れを祓う刀が穢れてるなんてな……面白い話だ……俺を傷つけたら被害を被るのはあの子だぞ。あの子が大切なら政府に逆らわぬことだ……今回だけだからな見逃すのは」
…………めっさ怖かったぁぁ。
石切丸の方を見ずに気配だけで刀に手をかけたことはわかったがあれは殺す気だったな。
神隠しどころか政府殺しなんざ洒落にならん。
あの子のためにも……あの本丸にはもう近づかんほうがええやろな。
あの刀剣男士からの嫌われよう……もう、手遅れか。