第13章 甘い香り ☆
「は、ぁッ…三日月さん……もう、終えないと誰かが気づきます」
三日月「ははは、ここまでして……なにもなく終えられると思うか?」
「……終えてほしいなぁ……なんて思ったり」
三日月「だが主……主とて我慢できるのか?瞳も赤く息も上がっている……」
瞳が赤いと言われても私の瞳は青かったはず。
薬研君にも言われたりしたことを考えると、どうやら私は発情……興奮すると瞳が赤くなっているようだ。
審神者になったからなのかはわからないが、瞳が赤いということは私の身体はそういうことを求めていると思われているようで……
「でも私……初めてで」
三日月「そうか、なら俺がいただくとしよう」
「ま、真っ昼間……いや、朝からそんな淫らなっ」
三日月「誘ったのは主の方からだと思うが?」
どうしよう。
その気にさせたのも、そういうことを始めたのも私だ……。
でも、でもっ……
三日月「……そう怯えるな」
「み、三日月さんはいいんですかっ……わ、私からしたことなので強く言えませんが、私……審神者ですよ」
人の形を得たことで人並みにそういうことをしたくなるとは聞いたが、私は審神者なのだ。
三日月さんに夜の相手を強要していた……前任と同じ審神者。
信用できるものでもなければ気持ち的にも割りきれないだろう。
三日月「……そうだな。前任にされていたことを考えると複雑、と思えるものがあるやもしれん。だがな、主……はっきり言わせてもらおう。俺は主に欲情している」
「…………へ?」
三日月「ん?俺は主に欲」
「ストップっ!」
唐突ではないがとんでもないことを言われた。
欲情って、そういうことだと思っていいはずではあるが三日月さんのような美しい人が私に……?
光栄なことなんだろうけど、そんなはっきりと言われると困ってしまう。
「え、ちょッ…あ、あのっ!」
いつのまにか至近距離まで近づいてきていた三日月さんに驚くが、本人は不思議そうに首をかしげるだけ。
わかってやってるのかそうじゃないのかわからないからなにも言えないが……目のやり場に困る。
身体の火照りは相変わらずの私にとって三日月さんの身体は毒のようなものなのだ……