第1章 始
こん「さあさあ、主様!頑張ってください」
「随分と無責任ですね。でもやるって返事をしたのは私だもんね……もし私と連絡とれなくなって一週間、私からの連絡がなかったら真っ赤に染まってると思ってね。それじゃ」
こん「あ、主様!こんのすけは主様のこと信じておりますゆえ!」
あれ、ついてきてくれないの?とは思ったが口には出さない。
ここまで案内してくれただけでも有難い話ですもんね……。
出会って三日しか経ってない狐に小さく笑みを返してから門を潜りなかにへと入るが、最初に感じたのは強い憎悪。
これは話に聞いていたよりもひどいものなのかもしれない。
安請け合いしたつもりはないけど、これは私には荷が重いことだったのかも。
殺意とか憎悪とかその辺りを覚悟の上、頑張るように言われたけど正直ここまでのものとは思わなかった。
甘く考えすぎていたようだ。
審神者になると覚悟を決めたからといって新人である私がブラック本丸でもやっていけるはずがないのだ。
前準備として何ヵ月も前からいろんなことを勉強したりしていたなら話は違ったのだろうが、残念なことにブラックな本丸に配属された話を聞いたのが二週間くらい前で私が審神者になると決めてから一ヶ月くらいしか経っていないのだ。
一ヶ月前まではそれなりにやる気があったが、それはきっと私は特別なのかもしれないという自意識過剰な考えが後押ししてくれたからこそ私ならできる、頑張れると思ってしまったのだろう。
でも今さら審神者やめます、なんて言えないし今この場で改めて覚悟を決めるしか道はなさそうだ。