第13章 甘い香り ☆
歌仙「僕は知らないな……はい、主お茶」
「ありがとう……」
お茶が入ったコップを渡されて、考えるためにも喉を潤すことにする。
苦味のあるお茶だが、不味くはない。
鯰尾「てっきり主からした匂いと思ったんだけどなぁ」
「んー……私は香水とかつけてないからな……埃の匂いと間違えたんじゃない?私、結構いろんなとこ歩き回ってたし」
鯰尾「間違えませんってほら、三日月さんと一緒にいたとき……主が発情してたときも匂いしてましたし」
「ぶはっ……!」
鶴丸・歌仙「「は、発情!?」」
唐突に言うものだからお茶を噴いてしまった。
な、なんてこと言うんだこの中学生もどき!
「だ、誰がいつ発情したっていうの!」
鯰尾「え、三日月さんと二人きりになってたときに……」
「してないよ!発情してないっ……」
鯰尾「でも、俺達が邪魔しなきゃ……まぐわってたんでしょ?」
「あ、ぅ……いや、あ、あれはっ……手を握っ……う、うわあああ!」
思い出して恥ずかしくなると耐えられなくなった私は鯰尾にお茶をぶっかけてその場から逃走した。
ただでさえ恋愛事とか男性に対していろいろ思うところがあるのにあんな、あんなっこと……
「うわっ……す、すいません」
廊下を走っていると誰かとぶつかった。
こっち来てからずっと誰かとぶつかっているな……。
誰だと思って見上げると……蒼い瞳。
三日月「そんなに急いでどこに行くのだ?」
「み、かづきさん……ッ…ぅあッ…」
また、だ。
苦しい……熱くて息苦しくて……変になりそうになる。
私はすぐに目をそらして距離をとると三日月さんの横を通りすぎようとした。
三日月「この匂いは……待て。顔が赤いぞ……具合が悪っ」
「ッだめ!っ……ご、めんなさい……い、まはだめなの……迷惑かける」
手首を掴まれたがすぐに手を払ってしまう。
審神者になり、ここに来てから鼓動が早くなって苦しくなったり熱くなることはあったがだんだんとそれが……苦しさが増している気がする。