第8章 お引っ越しをはじめよう
「ごめんくださーい!」
うとうととしていると外から女性の声が聞こえてきたので、もう来たのだろうかと部屋から出ると……
「また、政の紙」
「あ、あなたが先輩がいってた人ですね!……目の下の隈すごいですね」
外にいたのはスタイルのいいショート髪の、顔に政と書かれた紙をつけた知らない女性だった。
スーツ姿か……なんか懐かしい。
「では、早急にやらせていただきますのでまず……みなさん、馬小屋横の転送装置のそばまで来てくださいね」
すたすたと言いたいことだけ言って去っていく女性。
まだ、挨拶もできてないのに……
長谷部「主……誰ですか。あの怪しいやつは」
「政府の人、っぽい。なんの会話もしてないけど……とりあえず馬小屋の近くに集まってほしいってことみたい」
こんな早く来てくれるなんて嬉しいけど、頼んだ本人は生まれたての小鹿のような状態になっています。
ちょっと霊力を消耗しただけでこれだと今後やっていけるのか不安だ……引っ越ししたらまず……寝よう。
部屋を確保して、寝よう。
「長谷部……みんなの統率お願いします。私は後ろからついていくから」
長谷部「主……」
「ごめんね任せてばかりで……ちゃんと、やるから……主として頑張るから今だけは頼らせて」
そう言うと長谷部はポンポンと頭を撫でてくれた。
なにも言わない……けど、長谷部の顔はとても優しく私を労る気持ちを向けてくれた。
まだ、なにもできてないけど彼らのために私は身を粉にしてでも頑張らなくちゃいけない。
だから今だけは……無理をせずやろう。