第7章 身体の熱☆
「や、薬研くん……?」
薬研「ん?あぁ、疲れちまったか。ならその部屋で休んだ方がいい」
「え、いや疲れてはなかったりするんだけど……」
薬研「無理は禁物だって教わらなかったか?霊力の使いすぎで倒れたりしてから身体の不調を訴えてるっていうのは把握済みだ」
どこから聞いたのだろう……。
噂的なものを流すとするなら……ふわっと鯰尾の顔が浮かぶだけで他の人が思い浮かばないことから犯人はすぐにわかった。
本人に悪気はないんだろうけど、自分の体調事情がみんなに知られていると思うと情けないやら恥ずかしいやらで顔を合わせられないな。
薬研「ほら、そこに座……膝の上の方がお好みか?」
「畳の上で嬉しいです畳、大好きです」
部屋に入る前に一度草履を脱いでからすぐに座った。
疲れたとは言ってないが……身体の疲れは未だ健在ではある。
身体が思うように動かせないから困るものだ……。
私の前に胡座をかいて座る薬研くんを見ているとかっこいいなと思った。
燭台切さんや伽羅ちゃんがやったとしても絵になるかっこよさがあるだろうが薬研くんも短刀のわりには色気など備えているからなのかとてもかっこいい。
薬研「……どうかしたか大将?」
「あ、えっと……薬研くんって、大人っぽいよね。短刀はショタってイメージがあったから少し驚いちゃって」
嘘はいってない。
大人っぽくて、かっこよくて……
薬研「大将好みか?」
「っ!こ、好みとかよくわからないけど……薬研くんは安心できる人の一人かも……ここにいる人たちって顔がいいからドキドキしすぎて倒れそうにもなるの」
薬研「ほぉ、なら俺は大将にとってはドキドキされない対象ってことか?」
「え……そ、そんなことはない……けど……あの、近くないですか」
薬研「男としては大将をドキドキさせたいところではあるが……大将が俺ではそうならないなら仕方ないよな?」
いや、ドキドキはするけど……。
だんだんと近づいてくる薬研くんに私はすぐに立ち上がって後ろに下がった。
経験が物語ってる……これ、逃げた方がいいと。