第6章 お引っ越し計画
「黒髪、黒髪……あれ、いないな」
?「誰か探してんの?」
「うん、短刀の子なんだけど……声が低い……って、え?」
?「あぁ、薬研か。あいつならさっき部屋から出ていったぜ」
「そ、そうですか…………初めましてですよね?」
あの子、薬研って言うんだ……聞いちゃったけど、本人から聞いてないからまだ知らないことにしよう。
それよりも話しかけてきた金髪さんを私は知らない。
向かいに座っている人も知らないし……初対面で話しかけてくるなんて、これが巷で噂の陽キャさんかな。
獅子王「ん?俺の名は獅子王。よろしくな」
「よろしく……」
首に巻き付いているあれ……なんだろう。
新種のきつねかな……
「あの、そちらは……」
同田貫「俺は同田貫正国だ」
……なんて呼ぼう。
どうだぬき?まさくに?
…………だぬき?
「たぬくんって呼んでいいですか」
同田貫「はぁ?……いや、構わねぇけどさ」
よし、二人の名前ゲットだぜ。
タブレットの刀帳を確認する。
そこそこ埋まってきてはいるけど空欄が多いな……。
石切丸さんの隣の二つは空いてるし……その下も青江さんの横が四つ……石切丸、さん……
私はタブレットに映る彼のことを撫でた。
今でも私の身体にはあの人のつけた痕でいっぱいなんだと思うと、鼓動が早くなる。
部屋には行くべきではない、と決めたのにその決心が揺らいでしまう。
ちらっと三条の人たちが集まるところを見ると、三日月さん、小狐丸さん……知らない大きな人と、小さな子……そして、私の視線に気づいた石切丸さんがこちらを見て微笑んでくれたのを見て、身体の熱が上昇したように感じた。
「~~っ!」
獅子王「!」
同田貫「なっ……あ、あんたその目……っ」
「わ、私次いくねっ……ッ…!」
気持ちを落ち着かせないとまた倒れると思った私は急いでその場を離れて部屋を出た。
獅子王「……あー……やばい、なんか言い様のない感じが……残り香とかもう…っ」
同田貫「熱いな……」