第5章 短刀
「長谷部、鍛刀……じゃなくて、顕現すると記憶って引き継がれたりすることはあるのかな?」
一つそれなら納得できるかもと思ってここのことに詳しそうな長谷部に聞くのが一番いいが、前任に関係する話はデリケートなので言葉を選ばなきゃね。
長谷部「それは……聞いたことが……いや、前の主ならそういうこともできたかもしれません。いろんなことを調べては実行しておりましたので」
前任が絡んでるとするなら悪趣味すぎる。
つまりは主に折られた記憶をそのままに新しく顕現されるということ。
結構グロッキーな話だが、もし腕を切られたりしたあとに刀解などされるが何らかの方法で記憶が残るようにされたあと綺麗な体で顕現されるが記憶を引き継いでいるわけだから身体は綺麗でも心と感じた痛みは……
「……短刀達にしていたことは少し聞いているから……簡単には仲良くなれないだろうね。本能的に拒否してしまうはずだよ」
五虎退くんは私が触れても怯えることも……いや、恐怖はあったはずだ。
なかなかそばに来てくれなかったし頭を撫でるとき震えていたから怖いと感じていたはず。
一期一振さんに私の話を聞き、友達の虎くんが私のそばに来たから害はないのかもしれないと思って勇気を出してくれたのだから感謝するべきだ。