第5章 繋がる線。
「前、健吾が言ったの覚えてるか?前、バイト先に居た奴がストーカーされてるって言ってやめて行ったって。そいつがこいつだよ。遠藤美空(エンドウ ミク)。俺たちはあだ名としてミソラって呼んでた。」
「…。」
みくさんは黙って吉原さんを睨みつけていた。
「こいつをストーカーしてたのは…俺だよ。」
そう言って吉原さんは再び狂ったように笑いだした。
「…え?」
「別に、こいつのことは好きじゃなかった。ただ、慶介が気に食わなかったんだ。あいつはいつも俺よりもモテて、なんでも俺より上だった。気に食わなかった。だから、ちょっといたずらしようと思ったんだ。」
「慶介はずっと美空(ミソラ)の事を好きだと言ってた。だから、俺は、こいつに嫌がらせをして、それが慶介であるかのように仕向けたんだ。そしたら、案の定慶介が疑われて…あの時は最高に楽しかった…。」
「で、今度は俺が何もしなくても…だろ?しかもあいつ自殺未遂までしてさ…もう最高だよ!まじウケルわ。…あーあ。あいつ…死ねばよかったのに。」
笑いながらそう話す吉原さんは
狂気じみていて。
背筋が凍って足が震えた。
「二度とこんな事しないって条件で警察に突き出さなかったのに…最低だ!」
美空さんはそう叫び、吉原さんを殴った。
「…から、俺じゃねぇって!!!!!!」
吉原さんは美空さんに殴りかかった。
私は思わず目をつむった。
"バキッ"
凄まじい音と共に殴られたほうが
ベンチにぶつかったような音がした。