第5章 繋がる線。
その後、茜にもあった。
茜にも同様に嘘をついた。
が、茜は笑い出した。
「ぶはっ!嘘ばっかりぃー!結衣の顔に嘘って書いてあるし!」
「しーっ!」
あっくんは慌てて茜を黙らせた。
「協力してほしいんだ。鮫島とかには黙っててくれ。」
あっくんは困った顔で茜にお願いをした。
「わかったわかった。…まぁ、がんばりなよ。」
そう言って茜は去って行った。
それからその日は一度も由香里は口をきいてくれなかった。
大学が終わり、
あっくんは私を指示通り部屋まで送ってくれた。
その途中で遼平と会った。
「あ、遼平…。」
「おぉ!結衣!…ん?誰それ?」
遼平はあっくんをじっと見つめた。
「あ…とだもちの…」
「どうも!結衣の彼氏の青山です!よろしくお願いします!」
あっくんは私の声にかぶせてそう言った。
遼平は少し不機嫌そうな顔をした。
「どうも、幼馴染の吉岡です…。なんだ、結衣そういう奴いんじゃん!俺に頼らず、そいつに言えよ。」
遼平はうつむいてそう言った。
「違う、遼平…これはっ」
「じゃ。ほら、結衣!帰るよ!失礼しまーす!」
私が何か言おうとするのも辞めさせて
あっくんは私の手を引き歩きはじめた。
「悪い、岸本。今は我慢だ。」
あっくんは小さな声でそういった。
うつむく遼平がどんどん小さくなって行った。