第4章 疑心。
「…そっか。大丈夫?」
私はまだ頭が覚醒しておらず、
そんなに気に止めなかった。
「うん。大丈夫だよ。」
そう言って遼平はこちらへと歩み寄った。
「ねぇ、結衣。俺たちはさ、いつだって一緒だった。助け合ってきた。そうだよね?」
遼平はそう言って私を抱きしめた。
「遼平…?」
「今度だって必ず君は俺が守るよ。だから俺だけを信じて?…ね?俺だけを…」
遼平はよりぎゅっと強く私を抱きしめた。
「…うん?」
なんだか違和感を感じた。
いつもの遼平じゃない…?
「結衣。」
遼平の顔が私の方へと近づく
ふっと唇が触れ合う。
「…!!!」
私は思わず遼平を突き飛ばした。
「あ…ごめ…でも、なんかおかしいよ…?」
突き飛ばされたまま
遼平はうつむいていた。
「…。」
「遼平…?」
「…わりぃ!無神経だった!結衣がこんな時にさっ…悪かった。」
そう言っていつものように遼平はヘラっと笑った。
それからなんだか、
私は遼平の態度に違和感を覚えた。
何かを…隠している?