第4章 疑心。
取りに戻ろう。
私は振りかえった。
"ドン"
「きゃっ!!!!」
心臓が止まるぐらい跳ね上がった。
いつの間にか真後ろに
慶介が居た。
「おっと。大丈夫?」
慶介はいつもの笑顔で聞く。
「わ、ご、ごめん、後ろに居るって…き、気付かなくて…。」
上手く笑えなかった。
「ごめんね、驚かせて。手伝おうと思ったんだ。」
そう言って慶介は私の頭を撫でた。
その手にもビクついてしまった。
「あ、ご、ごめん…。」
私がうつむき謝ると、慶介は手をどけた。
「結衣。どうしてそんなに怖がるの?」
「…こわがって…なんかないよ…」
私の体は微かに震えていた。
『その態度のどこが怖がってねぇってんだよ!?あぁ!!??』
慶介が怒鳴った。
聞いたことのないような
低くて、怖い声で。