第4章 疑心。
これまでの出来事はきっと慶介じゃない。
そう言い聞かせて私は心を落ち着かせた。
"ガチャ"
部屋に入ると慶介はすぐに鍵をかけた。
その行動にさえ動揺してしまう。
「へぇ、ここが結衣の部屋なんだ。」
慶介は私の部屋をぐるっと見回し、
いつもの優しい笑顔を私に向けた。
「うん。ごめんね、汚くて。来るって教えててくれたら掃除したのに」
私は出来るだけ平常心を装って話した。
「充分綺麗だよ。あ、そういえば、由香里ちゃん達と何話してたの?」
その質問に私は思わず固まった。
素直に言うべきか…
いや、もし本当に慶介が異常者だったら…
「結衣?」
名前を呼ばれはっとなった。
「ご、ごめん!なんかサークルの話とか…いろいろしたから…思い出してた!」
そう言って私は笑って誤魔化した。
「本当?」
そう聞く慶介の笑顔が不気味でたまらなかった。
「う、うん。あ、お茶…入れるね!」
私はそう言って台所へと向かった。
"バタン"
台所と居間のドアを閉めた。
思わず深呼吸をした。
私はどうしたらいいかわからず、
焦っていた。
そうだ、遼平に連絡しよう。
私は携帯を探した。
…。
…。
…。
居間に置いてきてしまった…。