第3章 崩壊。
「あ、あのさ…関係…ないかも…しれないんだけど…さ。気になる事がひとつあって…」
私はぽつりぽつりと
昨日あった出来事を全て話始めた。
皆の表情が固まり、
一気に静かになった。
「それ…慶介さんがやったって事…?」
由香里がポツンと呟いた。
「…私は違うと信じてる…けど…」
再び沈黙が訪れた。
「ってか、慶介しかありえないでしょ。」
その沈黙を破ったのは高梨さんだった。
「おい、健吾!」
吉原さんは高梨さんをにらみつけた。
「お前も覚えてんだろ、美空の事。」
高梨さんは吉原さんを睨み返した。
「おい、それは終わった話だろ!」
吉原さんは柄にもなく少し声を荒げた。
「まって、美空(ミソラ)ってだれ?」
茜は二人の間に割って入った。
「…由香里ちゃんは美空に会った事あるっけ?」
吉原さんは由香里の方を見た。
由香里は首を横に振った。
「そっか。じゃぁ由香里ちゃんと入れ違いだったのかな…。俺達のバイト先に前居た子でさ。可愛くて、すっごい良い子だったんだ。けどさ、突然辞めちゃったんだよ。」
吉原さんはいつもより低めのトーンで話始めた。
「辞めた理由はよくわからないけど、なんかずっとストーカーされてるかもって辞める間際に言ってたんだ。俺と健吾と慶介で相談に乗って、帰りに送ってあげたりしてたんだ。」
「でもさ、何故か美空は慶介を避け始めたんだ。理由はわからないけど…それで、彼女は突然辞めていって、連絡も取れなくなったんだ。」
そう言って吉原さんは溜息をついた。