第3章 崩壊。
「…あのさ、慶介さんからなんか連絡あった?」
ポツリと由香里が口を開いた。
「慶介…?」
私は思わず昨日のことを思い出し俯いた。
「実はね、昨日初めて慶介さんがバイトを無断欠勤したんだ。」
「え?」
「それでね、昨日…っていうか日付的には今日になるんだけどさ、慶介さん、警察に捕まったんだよね。」
由香里が少し涙目になっていた。
「…え?…なんで?」
私がそういうと由香里は俯き泣き出した。
隣に居る吉原さんが由香里の背中を撫でながら
話し始めた。
「俺も詳しくは聞いてないんだけどさ…何か人を殴ったらしいんだ。あの温厚な慶介が…ちょっと信じられないんだけどさ…結衣ちゃん何か知らない?」
頭が混乱してどうしていいかわからなくなった。
あの時慶介は確かにバイトに行くと言って別れた。
それなのにバイトに行ってない!?
それにメールだって別れてからすぐには来なかった。
その間慶介は一体何を…?
人を殴ったって何故?何のために?
…誰を殴ったの?
私は何も言えず黙り込んでしまった。
茜が心配そうに私の顔を覗き込み、
背中を優しく撫でてくれた。
由香里は相変わらず泣いていた。