第3章 崩壊。
ふと、交通量の多い交差点へと繋がる下り坂へ差し掛かった。
スピードを下げるために私はブレーキを握り締めた。
…?
「え!?」
何度握り締めてもブレーキがかからない。
ひたすらに自転車は加速していく。
「うそ!?なんで!?」
そうしてあたふたしているうちにドンドンと加速していく自転車。
このままでは交差点へと突っ込んでしまう。
私は足で止めようと試みたが、
これでは間に合わない。
私は思いっきり自転車のハンドルを切った。
"ガシャン"
当然のごとく、自転車は倒れ、私は投げ出された。
「…いてて…。」
どうにか交差点の寸前で止まる事ができたようだった。
倒れた自転車を起こし、改めてよく自転車を見た。
ブレーキに繋がるワイヤーが切られていた。
自然にではない。
明らかに意図的に。
先ほど感じた違和感の正体はこれだったのだろうか。
恐怖を超越し、
なんだか、呆然と見つめる事しかできなかった。
私は自転車を手で押しながら、
待ち合わせの場所へと向かった。