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及川徹の(初)恋物語

第2章 及川徹の初恋。



「みんな知りたいよねー。徹ちゃんの初恋の話。」

夢乃が上機嫌で話し始める。

「...ちょっと、やめてよ。」

「別にいいじゃーん。徹ちゃんの初恋相手はね。なんと私なんです!可愛かったなー。あの時の徹ちゃん。大きくなったら 夢乃ちゃんと結婚するんだっていつも私の後付いて回ってたよね。」

「...ねー、いつの話してるわけ?それ幼稚園の時の話でしょ。」

「そうだけどさぁ、他にも覚えてるよ? 夢乃ちゃんと一緒にいるんだー!ってわざわざ年長さんのクラスまで迎えに来てくれたりね。帰り道で私が転びそうになったの助けようとして徹ちゃん、ド派手に転んじゃって痛いー!って大泣きしてたよね。」

.......後輩の前でどんどん過去の黒歴史を暴かれていく。



「...へぇー」

国見ちゃんがニヤリと笑う。

「ちょ、本当に昔の話だからね!国見ちゃんその顔やめてっ!!」

「....でも、本当に可愛かったなぁ。あの時の徹ちゃん。ちっちゃくて。今じゃこんなに成長しちゃって!もう、あの徹ちゃんは戻ってこないのかーっ。」

「...親戚のおばちゃんか!...夢乃だって、昔は....」

.............昔は?
.............昔からちっとも変わらない。幼稚園の時だって夢乃の隣にはいつも男の子が居たっけ。

「....私の昔の話??なに?気になるー。」

「....夢乃は昔から変わってないよーだ。昔っから年上ぶって男ったらしで。」

むぎゅーっ

「いはいいはい!いはいっては。」

夢乃に頬を思いっきり抓られる。

「失礼しちゃう。私は昔から岩泉くん一筋だよねー?」

「へ?あぁ、ども。」

「もー、そういうつれないところも愛してるよっ。」

そういえば、夢乃は昔から岩ちゃんがお気に入りだったっけ。どこまで本気か知らないけど。




ブーブーッブーブーッ

バイブ音が鳴り響く。

「ごめん。ちょっとでてくるね。すぐ戻るから」

「待って。」

咄嗟に夢乃を呼び止めた。
もし、相手が男で、告白とかだったらどうしよう。

「なに?」

「その、電話、誰から?」

「あぁ、お母さん。じゃ、すぐ戻るね。」

夢乃は店を出て行った。



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