第2章 rain of reposeⅡ
「ん・・・」
泣かせて、甘い声を無理やり上げさせた。
いつものように同じこのベッドの上で、強引なセックスを繰り返す。
確か眠りに就いたのは、いつだって例に漏れず名無しの方が先だった。
すやすやと寝息を立てているのを確認して、ナッシュは自分もうとうととしながら、頭を枕へと預けていた。
目を閉じる前、同時に自身の携帯に手を伸ばしながら・・・。
面倒なメールのチェックは済ませても無視を決め込んだのは、受信していた全ての新着のそれに、その場で返信する価値もないと思ったから。
メールを閉じ、次に開いたのは動画のアプリ。
閲覧していたのは、ナッシュにとって絶対に誰にも見られたくないものだった。
「・・・!!ひ・・」
「ヤッてそのままだったからな・・・濡らす手間が省けてちょうどいい・・そんな夜は何度もあったしな。・・・クソがッ」
「あ・・、・・・やめ・・嫌・・・」
「見てんじゃねえよ・・・っ」
「ッ・・・ナッシュ・・」
逆鱗に触れた、という表現も言い過ぎてはいないのだろう。
まさしくそのとおり、激情を曝け出し組み敷かれ、名無しは身体を無理やり開かれる。
寝落ち、目覚め、再び寝落ちて、急な覚醒が追い付くわけもなかった彼女の脳内は当然、混乱しきっていた。
「ッ・・・」
変わらない、差し込んだ月明かりが見せてくれたのは、目にするのも辛かった。
それは怒りと憂いを混ぜた様な・・・。
哀しげな表情にも見える、それを零すナッシュの姿だった。