第14章 クロ猫彼氏とボク
眼鏡くんの口から
ヒカリの名前が出る度に
腹が立つ。
俺が聞きたいことは、
俺の求める答えは、
そんなんじゃねぇ。
「黒尾さんは、ヒカリさんの彼氏なんですよね? 別に僕のことは関係ないんじゃ……」
「別れたよ……」
「え…………?」
眼鏡くんは
本当に驚いている様子だ。
「前回の合同練習の時に、ふられた。理由は聞いてねぇけど……」
眼鏡くんの口元がみるみる歪んでいく。
「そうなんですか……。じゃあ、別に僕がヒカリさんと何しても、黒尾さんには関係ないって事ですよね?」
「…………まぁな……」
俺は何も言えない。
彼氏でもない俺が
眼鏡くんを止める権利はない。
──ないが、嫌だ。