第19章 県大会一日目・不安
私達の予想を裏切ることなく、遙先輩も予選通過。みんな見事に個人種目で地方大会に進出できることになった。
「みんなすごいわ!先生、感動しちゃった!」
「よくやったぞ、お前ら!!」
先生やコーチが口々に褒めてくれて、先輩達はみんな嬉しそう。私だってもちろん嬉しい。
残るは明日のリレー。入部してまだ日の浅い私だけど、みんなのリレーに対する思いはずっと話に聞いてきた。練習に力が入ってたことも、もちろん間近で見てたから知ってる。
・・・どうか明日もみんなが十分に力を発揮できますように。
そんな風に祈りながら、会場を後にする。
いつの間にか時刻は夕方で、辺り一面がオレンジ色に染まっていた。
色々な学校の人達がそこかしこに集まっては話をしたりしている。そんな中で・・・・・・見つけた。
宗介さんは凛さんと、バスのところで何か話をしているようだった。
申し訳ないな、と思いながら真琴先輩の大きな身体の影に隠れて宗介さんを見つめた。
・・・なんで今日泳がなかったんですか?
もし私が気持ちを伝えていなかったら、今、走って行って宗介さんに聞くことができたんだろうか。そしたら宗介さんは何て答えてくれたんだろう。
考えても意味のないことを考えてしまう。
・・・なぜだろう。宗介さんの瞳がどこか遠くを見つめているように見えて、私はまた宗介さんから目を離せなくなってしまった。
・・・好きです、宗介さん。まだ、私、宗介さんのことが大好きです。
声に出すことはできないから、心の中でそっと呟いた。でも・・・
・・・もうあの大きな手で頭を撫でてくれることも、くしゃっとした笑顔を見せてくれることもないんだな・・・そう思うと、また涙が少し出そうになった。