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いちご☆恋模様

第18章 大丈夫


「お前ら、遅いから俺達は先に行くぞ。ヒカリ、早く行こう」
「は、はい!そ、それじゃあ、皆さん、お疲れ様でした」

練習が終わってみんなで部室を出たところで少し話していたら、遙先輩がもう待ちきれないとばかりにずんずん歩いていってしまった。私も、真琴先輩達に挨拶してその後を追う。

「明日、どんなだったか教えてね~!」
「ヒカリちゃん、ハルのことよろしくね」

なんて声を背中に聞きながら遙先輩の少し後を歩く。どれだけ鯖が好きなんだろうって微笑ましい気持ちにもなるけど、遙先輩さすがに少し歩くのが早い。

「あ、あの!遙先輩、もう少しだけゆっくり歩いてもらっていいですか?!」
「!・・・そうか、そうだったな。鯖のことで頭がいっぱいになっていた。すまない」
「い、いえ!」

思い切って声をかけてみると、遙先輩はすぐに速度を緩めてくれた。今度は私もその隣を歩くことができる。

そういえば・・・こんなことが宗介さんともあったっけ・・・
あの時は宗介さんが百太郎くんから逃げていて、それで早歩きになってて・・・でもすぐに謝ってゆっくり歩いてくれたんだった・・・

宗介さんのことを思い出すと、また少し胸が苦しくなる。




駅に着いて、遙先輩とチラシを見てお店の場所を確認する。

「鮫柄の近くみたいだな」
「え・・・」

遙先輩の言葉に思わず小さな声が漏れてしまった。鮫柄の近く・・・

「どうかしたか、ヒカリ」
「あ、い、いえ!」

・・・そうだ。鮫柄の近くだからと言って、宗介さんに会うことなんてない。大丈夫、駅を出てお店まで行って、食べてまた駅まで戻るだけなんだから。

「・・・ヒカリ?本当に大丈夫か」
「あ、だ、大丈夫です!ところで遙先輩は何の鯖料理が一番好きなんですか?」

急に私の口数が少なくなったからだろう。遙先輩が心配そうに私を見つめてきた。いけない、せっかく遙先輩が楽しみにしてるのに・・・私のどうでもいい心配に遙先輩を巻き込むわけないはいかない。不安を振り払うように、その後は電車の中で遙先輩と鯖話に花を咲かせた。




「遙先輩、お店どっちですか?」
「ちょっと待て。今地図を見る・・・この道をまっすぐだな」
「じゃあ行きましょうか」
「そうだな」

駅に着き、道順を確認し、私と遙先輩が歩き出そうとした時だった。
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