第17章 一晩明けて
「・・・それに!まだ若いんだから他の人に目を向けるのもありだよ!うちにもたくさんいるよ!いい筋肉の人!!」
「ええぇ?!い、いえ、私別に筋肉で宗介さんを好きになったわけじゃ・・・ぷっ!あははは!!」
江先輩の言葉に思わず噴き出してしまった。でもそれで、少しだけ気持ちが吹っ切れた。
「さ、そろそろ練習再開しようか!」
「はい!あの、江先輩!・・・あ、ありがとうございました!」
「どういたしまして・・・ふふ、ヒカリちゃんとこういう話できて嬉しかったよ。また何かあったらいつでも言ってね」
「はい!」
私は笑顔で江先輩に答えた。嬉しかった、私のことを心配してくれてたことも、話を聞いてくれたことも。まだ気持ちは沈んでしまうけど・・・それでも少しずつ頑張ろうって思えた。
ここに入ってきた時よりもずっと軽い足取りで私は外に向かった。
「・・・・・・でもおかしいなあ。宗介くんもヒカリちゃんのこと、気に入ってるように見えたんだけどなあ・・・ご飯誘ったり、苦手なシナモン食べてあげるなんて・・・それって・・・」
「へ?何か言いました?」
後ろで江先輩が何か言っていたみたいだけど、よく聞こえなかった。
「ううん、なんでもない。さ、行こ!」
「はい!」
「ごめんなさい、遅くなりました!練習再開しましょう!」
私達が出て行くと、遙先輩達もいつもと同じように迎えてくれた。