第17章 一晩明けて
・・・泣きすぎて目が痛い。きっと目は真っ赤だし、瞼も腫れてる。怖くて今朝は鏡を見ることができなかった。
それでも学校には行かなきゃいけない。こんな時だけ、宗介さんと別の学校でよかったと思う。もうどんな顔をして会えばいいのかわからない。
重い足取りで学校に着いて、授業を受ける。案の定、クラスの友達には心配されたけど、すごく泣ける映画観ちゃって・・・とごまかした。やっぱり誰がどう見たって、泣いたってわかるよね・・・
部活に出るのが今日はすごく気が重い・・・昨日、急に様子がおかしくなった私を、先輩達はきっとまだ心配してくれてるだろう。でも、何があったかなんて聞かれても答えられない。
「・・・すいません、遅くなりました」
放課後になってもしばらくボーッとしてしまって、今日は練習に行くのが一番最後になってしまった。先輩達はもうすでにみんな来て、準備体操を始めていた。
「あ、ヒカリちゃん。授業長引いちゃった?」
「あ、す、すいません・・・」
「ううん、大丈夫だよ。今日はヒカリちゃんがみんなのタイム測ってもらえる?」
江先輩は私の顔を見ても何も言わない。普段通り、まるで昨日のことなんてなかったみたいだ。
「は、はい」
「お願いね!」
それからはいつもの練習とまったく変わらない時間を過ごした。遙先輩も、真琴先輩も、渚先輩も、怜先輩もみんな挨拶して話をしたけど、みんないつも通りにしてくれる。誰が見たって、泣き腫らしました、って顔してるのに。
みんな気付かないふりしてくれてるんだ・・・ぎゅっと胸が締め付けられた。