第16章 わからない
「・・・いてえ」
胸がギリギリとまるで握り潰されているかのように痛んだ。
・・・なぜだ、なぜこんなにも苦しい。
「・・・宗介?」
「凛・・・」
気付いたら凛が部屋に入ってきていた。俺はヒカリが出て行った時のまま、同じ場所に佇んでいた。
「今、ヒカリとすれ違ったんだけどよ・・・」
「ああ・・・」
「・・・あいつ、泣いてたぞ。何かあったのか?」
「・・・わからねえ」
これ以外に答える言葉が見つからなかった。この部屋でさっき何があったかなんて、凛に言えるわけがない。
「わからねえ、じゃねえよ!お前があいつに何か言ったんだろ?!あいつ、お前のこと心配して・・・」
「うるせえな!お前には関係ねえだろ!!」
苛立ちに任せて怒鳴ってしまった。だけど、今はもうヒカリの話をしてほしくなかった。
「・・・・・・ああ、そうかよ。勝手にしろ」
「・・・・・・」
「ただ・・・これだけは言っておくぞ。ヒカリは俺にとっても大事な後輩で仲間だ。お前達の間がどうなってんのか知らねえけど・・・泣かしてんじゃねえぞ」
そう言うと凛は出ていってしまった。
・・・わかってる。そんなこと痛いぐらいにわかってる。泣かしたくて泣かしたわけじゃない。
部屋はまた俺一人になった。