第15章 溢れる
月曜日。部活が終わって学校から駅までの道を、先輩達と歩く。
土曜日からずっと、宗介さんと過ごした時間を何度も何度も思い出している。それだけでなんだかくすぐったくて幸せな気持ちになってくる。
もうなかなか会えないけれど、宗介さんとの、またご飯食べに行こうって約束と、暇な時なら相手してやるっていう言葉が私を支えてくれている。
宗介さん、今何してるのかな?まだ練習してるのかな?・・・そうだ、帰ったら『クッキーどうでしたか?』ってメールしてみようかな・・・土曜日会ったばかりなのに、図々しくないかな?・・・でも電話と違ってメールだから、そんなに迷惑にはならないかな・・・そんなことを考えながら歩いていたら、真琴先輩が近づいてきて話しかけてくれた。
「ヒカリちゃん、今日もはりきってたね。なんか土日でいいことあったの?」
「へ?・・・え、えーっと・・・その・・・」
『いいこと』は確かにあった。でも、宗介さんと出かけました、なんて言えるわけがない。
「そういえば土曜日家族で出かけるって言ってたよね。どこ行ったの?」
「い、いえ!ご、ご飯食べに行っただけですよ」
私がついた嘘を真琴先輩は覚えていた。軽々しく嘘をついてしまったことを反省する。
「へぇ〜、いいね。何食べたの?」
「カ、カレーライスとパフェです・・・」
・・・これは嘘じゃない。
「わぁ〜、俺もカレー好きだし、甘いものも割と好きなんだ。どこのお店?」
「いえ、あの・・・え〜っと・・・」
真琴先輩って甘いもの好きなんだ、なんだか可愛いって和む気持ちと、そんなに色々聞いてこないでって焦る気持ちとが私の中でごちゃまぜになる。