第14章 苛立ち

「そ、そんなぁ！・・・あ、それってもしかしなくてもヒカリちゃんの手作りじゃないっすか！可愛くラッピングされてるし！」
「・・・まあそうだな」

そして、御子柴はヒカリが作ったクッキーを目ざとく見つけやがった。

「下さい！！」
「やらねえよ。なんでだ」
「だって！この前食ったの実は男の手作りクッキーだったし！女の子の手作り食って浄化したいっす！！」

そういえばこいつが、実際は竜ヶ崎って奴が作ったクッキーを江が作ったものだと勘違いして食っちまった、なんてことがあった気がするが、そんなの俺の知ったことじゃない。

「・・・いや意味わかんねえ」
「く、下さい！一枚でいいので！」
「ダメだ。俺がもらったやつだし」
「だ、だって、山崎先輩、ヒカリちゃんと何もないんすよね？！だったらいいじゃないすか！ねえ、下さいよ！！」

あー・・・うるせえ。あまりに腹が立って、思わず感情のままにでかい声を出してしまう。

「・・・うるせえな。あいつは俺のだ。お前なんかにやらねえよ！」
「・・・」
「・・・あ？」

・・・なんだ？さっきまでバカみたいにうるさかったのに、御子柴はいきなり頬を赤くして黙ってしまった。
・・・ただこいつは俺がもらったもんだし、お前が食うのはおかしいだろって、言っただけなのに。

「あ・・・そ、そうなんすね！わ、わっかりました！なんか自分、すっげーずうずうしかったっすよね！」
「お、おお・・・」
「そ、そっか・・・ヒカリちゃんは山崎先輩の・・・し、失礼しました！！」

御子柴はコロッと態度を変えると、赤い顔をしたまま部屋から出て行った。
・・・なんだ？俺が何かおかしなことを言ったのか？