第14章 苛立ち
「山崎先輩!!!」
バン!とノックもなしに御子柴が入ってきた。俺の思考はそこで断たれた。
「・・・なんだ、うるせえな」
・・・心底うるせえと思う。思い切り嫌そうな顔をしてるのに、そんなのお構いなしに御子柴は続ける。
「ヒカリちゃんとどこ行ってきたんすか!てか、ヒカリちゃんとどういう関係なんすか!」
「・・・別に飯食ってきただけだし、どんな関係でもねえよ」
「ほ、本当すか?!その割には帰ってくるの遅くないっすか?!」
「・・・お前に関係ねえだろ・・・てか江はどうした」
かなりうざったかったので江の名前を出して話題を逸らした。こいつがヒカリの名前を口に出してるだけで、なんだかムカムカした。
「も、もちろん江さんは俺の一番の憧れっすけど!でもヒカリちゃんも可愛いし!可愛い子と二人っきりで出かけたら羨ましいじゃないすか!!」
・・・こいつの思考は本当にわからない。泳ぎの方はまあ可能性を感じないでもないが、この考え方はついていけねえ。
「・・・くだらねえ。俺もう風呂行くからお前、自分の部屋帰れ」
実際早く風呂に行きたいのも事実だった。だが御子柴はなかなか引き下がらない。