第14章 苛立ち
ヒカリの家から駅まで、少しだけ迷ったが、なんとか辿り着くことができた。電車に乗り寮まで帰ってくると、ちょうど凛が部屋から出てきたところだった。
「おう、お帰り宗介」
「ああ・・・なんか御子柴がうるさかったって?」
凛からの電話を思い出す。御子柴がうるさくて仕方ないから早く帰れ、という内容だった。
「・・・すっげーうるさかったぞ。お前とヒカリがどっか行っちまったとか、どんな関係なんだとか」
心底うんざりした顔をして凛が言う。さっきもギャーギャー騒いでたし、あの調子で凛につきまとっていたんだろう。
「・・・そりゃ、悪かったな」
「まあ百がうるせえのはわかりきってるからいいけどよ・・・で、何?お前、ヒカリとどっか行ってたの?」
「別に・・・貸してたやつを返してもらって・・・飯食ってきただけだ」
「・・・ふーん、飯、ねえ・・・」
じっと凛が何か疑わしいものを見るような目で、俺を見てくる。なぜかこいつは少し前からこんな目で俺を見てくる。一体、何だって言うんだ?
「まあいいや。俺、愛に話があるからちょっと行ってくる。そんじゃな」
「おう」
そう言うと、凛は似鳥と御子柴の部屋へと入っていった。また御子柴が騒ぐんじゃないかと思ったが、俺もうるさいのはごめんだったから、早々に部屋に入った。