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いちご☆恋模様

第13章 帰りたくない


公園から少し歩いて、また家の前に着く。歩いているうちに、さっきまでのドキドキも少しずつ収まってきた。

「・・・あ!!」
「なんだ、でっかい声出して」

ここまできて、私はとても大事なことに気がついた。まだ宗介さんにタオルを返していない。今日はそのために宗介さんに会ったのに、宗介さんといっしょにいる時間が楽しすぎてすっかり忘れてしまっていたのだ。

「タ、タオル、お返しするの忘れてました!す、すいません!」
「・・・ああ、そういやそうだったな」
「あ、あの、本当にありがとうございました!」
「おお」

きれいな袋にいれたタオルを宗介さんに渡す。そう、そして、勇気を出さなきゃいけないのはこれからだ。

「あ、あと、こ、これ・・・お、お礼のつもりでクッキーを焼いてみましたので・・・よ、よければもらって下さい・・・!」
「・・・おお」

部活から帰ってきて焼いたクッキー。時間がなかった割にはなかなか上手に焼けたんじゃないかと思ってる。でも・・・宗介さん、さっきファミレスで、『甘いもの食べに行くぞ』って言ったのに何も食べなかったから、もしかして甘いものは嫌いなのかもしれない。

「あ・・・でも・・・甘いもの嫌い・・・でしたか?」
「いや・・・別に嫌いってわけじゃねえし。たいていの物は食える・・・ちゃんとした食いもんならな」

恐る恐る聞いてみると、宗介さんはまた失礼なことを言う。ちゃんと味見したから大丈夫なのに。

「ちゃ、ちゃんとした食べ物ですよ!」
「ははっ、そうか。ならありがたくもらうわ」
「は、はい」

宗介さんは笑うと、クッキーを受け取ってくれた。・・・嬉しい。そして、宗介さんの手が少しだけ触れた指先が熱い。
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