第13章 帰りたくない
「あはは!」
「・・・お前、笑いすぎだろ」
「だ、だっておかしすぎて・・・あはは!」
さっきから私は笑いがとまらない。だって宗介さんったら本当に自信たっぷりに歩き出したから。宗介さんと並んでベンチに座ってからもずっと笑いどおしだ。
「まあでも・・・この前はマジでビビった。なんだよ、このタコ・・・」
「あはは、やめてください、お、おなか痛い・・・」
宗介さんがタコのすべり台を見てぶつぶつ文句を言っている。子供の頃から見慣れたすべり台が今の私にはおかしくて仕方なかった。
「・・・笑うなって言ってんだろ、この・・・!」
「わっ・・・ちょ、ちょっと・・・も、もう・・・またぐしゃぐしゃ・・・」
照れ隠しなのか、宗介さんが私の髪をぐしゃっと撫でてくる。撫でられるのは嬉しいけれど、一応宗介さんに会うからってせっかく綺麗にしてきた髪型が台なしだ。
「・・・お前が笑いすぎんのが悪い」
ぷいとそっぽを向いてしまった宗介さん。・・・こんな表情もするんだ。
「あ!そういえば宗介さん!」
「なんだ」
「この前、オムライス食べてた時、私のこと見てないって言ってたのに、本当はすっごい観察してたじゃないですか!」
ここで、食事の時は言えなかったことを思い出して言ってみた。あの時は見てた見てないって、言い合いまでしたのにひどいと思う。
「・・・別にいいだろ。お前、見てて面白えし」
「お、面白いって・・・」
・・・これは褒められてるんだろうか。ただの面白い観察対象にしか見られてなかったらいやだなあ。
でもさっきまで拗ねてるみたいだった宗介さんが、少し笑ってくれてて嬉しい。