第12章 やすらぎの時間
「ごちそうさまでした!美味しかったから、宗介さんも食べればよかったのに・・・」
「お、おお・・・」
結局、あの後俺達はファミレスに入った。パフェが食いたいとヒカリが言うので、とりあえずメニューにあったやつ3種類全部頼んだら、ヒカリは見事に食いきった。ちなみに俺はメニューを見ただけで胸焼けがしたので、ドリンクバーだけにした。てか、あんだけでかいカツカレー食った後では無理だ。
「お前すげえわ、ホント」
「え・・・今度こそひきました?」
ヒカリが心配そうな顔で俺を見つめてくる。一体こいつは何回言ってやればわかるんだ。
「・・・俺はひかねえよ。チビで女でも」
さっきヒカリが言ってた中学の時の奴の言葉を否定するように俺は言ってやった。
「・・・はい、ありがとうございます、宗介さん!」
ヒカリが俺に向かってにっこり笑うとまた少しだけ、心臓の音が早くなった。そして、いつの間にかさっきの苛立ちも消えていた。
「あ、あの!宗介さん、私、自分の分払いますから!」
「別にさっきのカレー、タダになったし、これぐらい払ってやる」
ヒカリがトイレに立った隙に会計を済ませると、戻ってきたヒカリが慌てて財布を出してきた。
「いえ、でも・・・私、散々食べたのに・・・」
「ここ誘ったの俺だしな。ま、これぐらい奢らせろ」
「んっ!・・・じゃ、じゃあ・・・ご、ごちそうになります。ありがとうございます」
「おう」
申し訳なさそうにしているヒカリの頭をポンと軽く叩くと、ヒカリはやっと納得したようだった。
「あの!・・・こ、今度は私が奢りますから!宗介さんもたくさん食べてくださいね!」
ファミレスを出て、駅までの道を歩いていると、ヒカリがなぜか握りこぶしで気合いたっぷりに言ってきた。
「ははっ・・・おう。またなんか、食いに行こうな」
「は、はいっ!」
その様子がおかしくて、少し笑ってヒカリの頭を撫でると、ヒカリも同じように笑った。ヒカリのさらさらした髪の感触が手に心地よかった。