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いちご☆恋模様

第12章 やすらぎの時間


「ごちそうさまでした!・・・あー美味しかった!久々に家以外で『食べてる!』って感じがしました!!」

制限時間のぎりぎり1分前、ほぼ同時に俺達は食い終わった。

「・・・お前、すげえな」
「へ?」
「や・・・食うとは思ったけど、こんな見事な食いっぷりだとは思わなかったわ」

実際、ヒカリの食いっぷりはかなりのものだった。ほぼ俺と同じペースで、最後までペースをまったく落とさずに美味そうに超大盛りカツカレーを食いきった。正直、この量はさすがに無理だと思ってたし、食えなかったら代金は払ってやってもいいと思っていた。

「え・・・ひ、ひきました?」
「いや・・・やっぱ面白えな、って思った」
「お、面白いって、もう・・・」

『面白い』は事実だった。俺よりもずっと小さい身体で、俺と同じだけ食うなんて面白すぎる。本当にこいつは飽きさせねえなと思った。

「すげえな、あの二人」
「てかあの女の子、小さいのにすげえ大食いだな」

店にいた他の客が俺達を見て騒ぎ出す。あと、店主っぽい男が店の奥で泣いてる。
注目されて、ヒカリは恥ずかしそうに身体を縮こまらせた。

「気にすんな。他の奴が何て言っても、俺がいいって言ってんだからいいだろ」
「・・・はい、そうですね。ふふ」

そう言ってやるとヒカリは笑って、これまでのことを少しずつ話し出した。

小学生ぐらいまではそこそこだった食欲が、なぜか中学に上がってから急に人の倍以上になった。それで弁当の時間に馬鹿でかい弁当箱を持って行ったら、まわりにドン引きされた。
それが大食いを隠すようになった理由らしい。まあわかるっちゃわからなくもないが、ここまで見事に食えば見てて気持ちいいし、隠すほどのことでもないと思った。
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