第11章 大好きがとまらない
「あ、い、いえ!練習忙しいですよね!そうだ、タオル、寮の管理人さんに渡しておきます!お手数ですけど、宗介さん受け取っておいてもらえますか?」
そうだきっとこの方がいい。会えないのはさみしいけど、迷惑がられるくらいなら、この方が宗介さんの負担にもならないし、いいに決まってる。
『いや・・・いい。うちも明日、練習早めに終わるから・・・ついでに飯でも食いに行くか?』
『わかった』って宗介さんは言うと思ってた。予想外の答えに頭が一瞬真っ白になる。
「・・・・・・」
・・・どうしよう、全然言葉が出てこない。
『・・・別に無理なら「行く!行きます!!行かせて下さい!!!」
と、思ったけれど、一気に言葉が溢れてきた。そして思いきり宗介さんの言葉を遮ってしまった。
『・・・お前、声でかすぎだろ・・・ふはっ』
「ご、ごめんなさい・・・」
また笑われてしまった。恥ずかしい、でもそれ以上に予想外のことに頭が全然ついていかない。
それから先はまるで夢の中にいるようで、自分が何を話したのか覚えていない。だけど、電話を切った後、明日の待ち合わせの時間と場所だけははっきりと覚えていた。
「通話時間、3分58秒・・・」
携帯を確認する。そうだ、確かに私宗介さんと話していたんだ。
ううん・・・そんなことよりも明日だ。明日、私は初めて宗介さんに一人で会いに行く。会いに行くだけじゃなくて、二人でご飯を食べる約束までしてしまった。
練習が終わってから待ち合わせまでちょっと時間があるから、一旦家に帰って着替えてから行く・・・なんか、これって・・・これって・・・もしかしてデートと呼べなくもないんじゃ・・・・・・
・・・ダメだ、あんまり意識するときっと明日宗介さんの前でおかしな態度になってしまう。そうだ、ただ借りたタオルを返しに行くだけなんだから。それで、一緒にご飯食べるだけなんだから・・・
意識しない、意識しない・・・・・・
・・・でも、どうしよう。きっと、今夜は眠れそうにない。