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いちご☆恋模様

第10章 涙と笑顔


「・・・せっかく、皆さんが信頼して任せてくれたのに・・・それに応えられなかった自分がものすごく情けなくて・・・っ・・・」

そこまで言うと、再びヒカリの瞳から涙の粒がこぼれ落ちた。ヒカリの手が濡れていく。

「・・・っ・・・な、なんかもう・・・皆さんに・・・会わせる顔がない・・・ですっ・・・」

ヒカリの肩が震えている。俺は一旦大きく息を吐いてから続けた。

「ヒカリ」
「・・・」
「顔上げろ」
「は・・・い・・・・・・」

ヒカリが顔を上げた。頬を涙が伝っている。

「・・・そんなことはねえ。それぐらいのことで取り返しがつかなくなるなんて・・・絶対ねえから」
「・・・」
「・・・お前は大丈夫だ。これからいくらでも挽回できる」

・・・『俺と違って』は心の中で付け加えておいた。

ヒカリは何かを考えているのか、俺からずっと目を逸らさない。もう涙は止まっているが、まだ濡れた瞳がじっと俺を見つめてくる。
・・・こいつがこんなだと本当に調子が狂う。

「・・・・・・」
「そんな顔すんな、ばーか」

そう言うと、俺はヒカリの頭をぐしゃぐしゃと撫でてやった。

「わっ!ちょ、ちょっと、や、やめてくださいって!」
「ははっ、ひっでー頭」
「なっ!そ、宗介さんがやったんでしょ!ひ、ひどいですよ・・・もう・・・」

ボサボサの頭になったヒカリは、ブツブツ言いながら髪を直している。
・・・こいつはこれでいい。

「・・・やっといつもの調子が出てきたな」
「あ・・・」

俺がそう言うと、ヒカリの頬が赤く染まった。

「あの・・・えっと・・・あ、ありがとう・・・ございます・・・宗介さん・・・」
「別に・・・たいしたことはしてねえよ」

そうだ。別にたいしたことはしていない。それに、目の前で女が泣いてたらヒカリ以外の奴でもこんな風に・・・はしないか。めんどくせえし・・・・・・いや、よくわからねえ。
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