第9章 はずむ心
「ヒカリちゃん、お疲れ様ー」
「江先輩、お疲れ様です!」
今日の練習が終わった。今日はいつも以上に頑張ったと思う。タイムを測ったり、ドリンクを作ったりする他にも、プールサイドの草むしりも率先してやった。結構伸びてきてたから大変だったけど、頑張ってやったらずいぶんプール周りが綺麗になったと思う。
「なんか今日はりきってたね。あれ?でもここんとこずっとはりきってたよね?確か1週間ぐらい前・・・」
「そ、そんなことありませんよ!私はいつもはりきってますよ!」
江先輩があまりに具体的な数字を出してくるから驚いた。これは私が態度に出すぎてるのか、それとも江先輩の勘が鋭いのか・・・
「あはは、そうだったね、ごめんごめん。マネージャーの仕事にちょっと慣れてきた感じ?」
「は、はい。そうですね。江先輩が色々教えてくれるおかげです」
これも本当のことだと思う。水泳なんて今まで学校の授業でしかやったことがなかったけれど、ずいぶん知識も増えたと思う。・・・水泳だけじゃなく、筋肉の知識も少し増えつつあるけれど。
「あ、あの、江先輩。ところで、ですね・・・あの・・・鮫柄とはまた合同練習しないのかなーなんて・・・」
「へ?鮫柄と?」
気にしないとは思っていても、やっぱり気になってしまう。だって、もういつだって宗介さんに会いたい。
「うーん、もう県大会近いからなあ・・・あ、でも来週、大会前最後にやろうってお兄ちゃんが言ってたっけ」
「ほ、本当ですか?!」
「ど、どうしたの?!ずいぶん嬉しそうだけど・・・」
私がいきなり身を乗り出したせいで、江先輩をかなり驚かせてしまった。いけない、嬉しさが顔に出てしまったみたい。