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いちご☆恋模様

第7章 いつもと違う帰り道とやっと気付いた気持ち


「お前、これ忘れてんぞ」
「へ?!や、やだ、す、すいません!」

お店の外で江先輩と会計が終わるのを待つ。すると後から出てきた宗介さんが、私のトートバッグを手にしていた。奪うようにして、それを受け取る。

「ずいぶんでっけえけど、なんだ?もしかして「いや!あの!教材です!学校の!!」
「教材?」
「え?そんな教材、うちの学校あったっけ?」
「いえ、と、とにかく!持ってきてくれてありがとうございました!あー、り、凛さん!ごちそうさまでした!」

宗介さんだけでなく、江先輩まで加わってきてどうしようかと思ったけど、凛さんの姿を見つけた私はこの話を強引に終わらせた。




「よーし、そんじゃもう遅いし、帰るか」
「うん、今日はありがとね、お兄ちゃん」
「私まで誘っていただいてありがとうございました。ご飯までごちそうになって・・・」

少し歩いて駅まで着く。凛さんに改めてお礼を言いながら、私は内心ではホッとしていた。今日は本当に色々あったし、早く一人になりたい。それに・・・宗介さんが側にいるだけで、心がなんだか落ち着かない。

「はは、いいってことよ!そんじゃ、俺は江を送っていくから、宗介!お前、ヒカリのこと送ってけよ」
「へ?!いや、だ、大丈夫です!家、駅から近いし・・・」

・・・今日でわかったことがある。凛さんはとても優しくて素敵な人だけど、かなり強引だ。映画館の時だって、さっさと江先輩と座っちゃうし!

「ダメだ。もう暗いし、危ねえだろ」
「いえ、ほ、ほんとに大丈夫なので・・・」

・・・でも強引でも私のことを考えて言ってくれてるんだよね・・・とても嬉しいんだけどこれ以上宗介さんといっしょだと心臓が持ちそうにない。宗介さん、断ってくれないかなあ・・・

「いい、送ってく・・・ほら早くしろ」
「へ?」

『めんどくせえお前一人で帰れるだろ』とでも言うかと思ったのに、宗介さんはあっさりと頷いてもう駅の中へと歩いて行ってしまう。

「おい、早くしろ」
「え、ちょ、ちょっと・・・あ、あの、それじゃあ!凛さんホントにありがとうございました!」

「おう!じゃあな!」
「宗介くん、ヒカリちゃん、バイバーイ!」


この状況ではもう逃げるわけにはいかない・・・私は凛さんと江先輩に挨拶すると、宗介さんを追って小走りになった。
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