第5章 人生最大のピンチです
映画館について、飲み物やポップコーンなんかを買ってみんなで座席を探す。さっきから私は江先輩と、山崎宗介は凛さんと、といった組み合わせで会話をしている。うん、この調子で映画も江先輩の隣で観させてもらおう。
「えーっと席は・・・は?!何だ、これ?!」
「どうしたの?お兄ちゃん。・・・えーっと、これは・・・いわゆるカップルシート?みたいな?」
江先輩と凛さんの話している席を覗きこんでみる。あまり詳しくないのでよくはわからないが、カップルシートというのは、二人でひとつのシートに座るもののようだった。そしてここに二人で座るの?!と驚いてしまうぐらいに狭く作られている。まあカップルだから狭いほうが、より密着できていいということなんだろう。
「いや、んなことどこにも書いてねーぞ。ほら、一枚で二名様までって・・・」
「あ、ここにちっちゃーく書いてあるよ、お兄ちゃん。『こちらのチケットはカップルシートでのご利用になります』って」
「マジかよ・・・・・・てことは・・・・・・あーよし、江。俺と一緒に座れ」
「へ?わ、私?!」