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いちご☆恋模様

第26章 『またな』


夕日が差し込む道を、宗介さんと手を繋いで歩く。

「・・・・・・お前、少し痩せたか?」
「・・・は、はい。ちょっとだけ・・・あんまりご飯食べられなくって・・・」
「わりぃ・・・俺のせい、だよな・・・」

宗介さんが沈んだ表情になってしまい、慌てて否定する。確かにきっかけはそうだけど、勝手に思い悩んだのは私なんだから。

「い、いえ、そんなことないです!それに・・・もう大丈夫です。今日からはご飯のおかわりもできそうです」

今日からはまた違う理由で胸がいっぱいで食べられなくなるかも・・・そんな考えも過ったけれど、宗介さんを心配させたくなくて、そう笑顔で答えた。

「・・・ちなみに、一個聞いときたいんだけどよ」
「はい?」
「お前が飯食う時に使ってるのって・・・茶碗・・・」
「いえ、どんぶりで「ぶ!!ははははははっ!!」

・・・本当に本当に、宗介さんのこういう所、失礼だと思う。私がまだ言い終わってもいないのに、お腹を抱えるようにして大笑いしている。

「ちょ、ちょっと!自分で聞いたくせに、何笑ってるんですか?!」
「はは、わりぃわりぃ・・・・・・やっぱお前、裏切らねえわ」
「もう・・・・・・ふふふ」

宗介さんが繋いでいない方の手で、少し乱暴に頭を撫でてくる。くしゃりとした私の大好きな笑顔つきで。まだまだ抗議したい気持ちはたくさんあったのに、そんなの忘れて、私も宗介さんと一緒に笑ってしまった。






少し歩いて行くと、ようやく人の声が聞こえ始めてきた。
もうふたりきりの時間はおしまい・・・さみしいけど、仕方ない。大丈夫、私にはさっきの宗介さんの言葉がある。『会いたいって言ったらすぐに会いに行ってやる』って。でも・・・やっぱりさみしさは消えなくて・・・繋いでいる手に少しだけ、ぎゅっと力を込めた。

宗介さんがピタリと足を止めた。

「・・・宗介さん?」
「・・・やっぱ離れがたいよな」

手は繋がれたまま、もう片方の手が私の髪を撫でてくれる。何度も何度も感触を確かめるみたいに。

「っん・・・・・・」

くすぐったいような、でもずっと撫でていてほしいような変な感じ。

・・・ひとつ、とても大切なことを思い出した。今更・・・とも思うけど、やっぱり決めていたことだから・・・私は勇気をだして言うことにした。
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