第26章 『またな』
1回目のキスは宗介さんの気持ちが全部伝わってくるような優しいキスだった。2回目はちゅっと軽く触れるだけのキスを。3回目は少しだけ長いキス。4回目はまた触れるだけのキス。
「・・・ヒカリ」
「ん・・・宗介、さん・・・・・・」
最後はお互いの想いを確かめ合うような長いキスを私達はした。
ずっと、すぐ近くにあった宗介さんの唇がゆっくりと離れていく。
「んっ・・・・・・・・・ご、5回・・・しました・・・・・・」
「はっ・・・ばーか、何数えてんだお前」
そう言って宗介さんが私の頭を撫でながら笑う。
「だ、だって・・・」
「・・・数える余裕もなくなるぐらいこれからたくさんするぜ?」
少しだけ意地悪そうな笑いを浮かべて宗介さんが言う。もうこれ以上赤くなる余地もないぐらい、顔が赤いのに、また新しい熱が生まれていく。
「っっ!!」
「ははっ」
私はもう余裕なんて全然ないのに、宗介さんは余裕の表情で笑っている。
・・・ずるい、悔しい。・・・でも嬉しい。
「・・・そんじゃ、そろそろ行くか。あんまり遅くなっても七瀬達に悪いしな」
「そう・・・ですね・・・」
時間のことなんて忘れてしまっていたけど、みんなのところを抜けてきてから、多分30分は余裕で経ってしまっているはず。みんな待っているからそろそろ行かなきゃいけないのはわかってる。
でも・・・まだ宗介さんと離れたくない。せっかく宗介さんが好きって言ってくれたのに。せっかく両思いになれたのに。
・・・だけど、そんな私の気持ちは見事に顔に表れてしまっていたみたいだ。
「・・・ばか、なんて顔してんだ。これからはお前が会いたいって言えば、すぐに会いに行ってやる。だから・・・な?」
宗介さんの大きな手が頭を何度も撫でてくれる。
わかってた・・・宗介さんが優しいことなんて。でも、今の宗介さんはただ優しいだけじゃなくって・・・なんかもう蕩けてしまいそうに優しい。
いじわるされたり、からかわれたりするよりは、優しくされる方がいいはずなのに、宗介さんが優しすぎてどうしたらいいのかわからない。
ただもう頷くことしかできなくて、宗介さんが差し伸べてくれた手を取って、私は立ち上がった。