第25章 見つけられたもの
しばらく俺達は抱き合っていた。今まで心が離れてしまっていた分を埋めるように。触れ合うお互いの全部で、お互いを確かめ合うように。
「っ・・・宗介さん・・・」
「どうした?」
ヒカリが小さな声を出した。その声はまだ少し震えていた。
「・・・またっ・・・メールして・・・電話しても・・・っ・・・いい、ですか?・・・っく」
それはいつだったか俺達が交わした小さな約束だった。
「・・・ああ、いくらでもしてこい。俺もする」
「またっ・・・っ・・・いっしょに・・・っく・・・ご飯・・・食べに行けますか?・・・っっ」
「・・・ああ、また超大盛りカツカレー食いに行こう・・・・・・はっ、こんな時に食いもんの話とか・・・お前、ホント色気ねえなあ」
これも俺達が以前に交わした約束だった。覚えていてくれたのは嬉しいが、こんな時に言うなんてな・・・だが、それも全部ヒカリらしい。
「っ・・・だ、だって・・・」
抗議するようにヒカリが顔を上げた。その顔は涙でぐちゃぐちゃで、色気とか女らしさとかそういったものとはかけ離れていた。
「でも・・・そんなところが好きだ」
・・・ああ、いけねえ。一回しか言わねえって言ったのに、自分で破っちまった。
・・・でも、こいつといると気持ちが止まらない。ヒカリへの気持ちが溢れてとまらなくなる。
「!!!・・・い、今、また、好きって・・・んっ」
余計なことを言おうとするヒカリの頬にそっと手を添える。
「・・・そろそろ黙れ」
じっとヒカリの目をのぞき込むと、ヒカリは俺の意を察したのかぎゅっと目を閉じた。
ヒカリの頬は、俺達を照らしてる夕日のように、いや・・・まるでいちごのように真っ赤で、俺は少し笑ってから、ヒカリの唇に自分の唇を重ねた。