第25章 見つけられたもの
俺はヒカリに話した。さっき凛に話したこと全部。
ガキの頃からずっと、世界の舞台に立つことを目標にしてきたこと。ライバルの凛がオーストラリアに行ってしまっても、あいつも頑張ってるから、その思いで厳しい練習にも耐えてきたこと。
東京の水泳強豪校に入って、より一層過酷なトレーニングを続けてきたこと。肩に違和感を感じ始めても、そんなのは無視してただ夢のために、練習に打ち込んできたこと。
だけど・・・そのせいで肩が壊れちまったってこと。
もう俺の夢は叶わない・・・そう気付いて、水泳をやめることにしたこと。
だけど、その前に最後に凛と泳ぎたい、本当の仲間になりたい、そう強く思ったこと。
そして・・・その小さな夢が今日叶ったことも、全部全部ヒカリに話した。
いつの間にか日が少し傾き始めていた。
ヒカリは俺の長い話をずっと黙って聞いていた。
はじめ涙に濡れていた瞳はもう乾いていて、ヒカリはただずっとまっすぐに俺を見つめて話を聞いていた。
「・・・そう・・・だったんですね・・・」
俺が全部話し終えると、ヒカリはポツリと一言つぶやいた。俺の今までの話をもう一度反芻してるようなそんな表情だった。
「お前・・・」
「・・・へ?」
馬鹿なことを考えていると思う。完全に思い上がりだと思う。俺の話を聞いたら、こいつも凛のように泣くんじゃないか、なんて。
「・・・泣かねえんだな」
口に出して言っちまうなんて、本当に愚かだと思う。でもこいつが何を考えてるのか、俺は知りたいと強く思う。
「・・・泣きませんよ。だって・・・」
「・・・」
「だって・・・今までずっと、つらかったのも・・・泣きたかったのも宗介さんだと思うから・・・だから、私は泣きません」
「・・・」
「・・・宗介さんの大切な話、私なんかにしてくれて・・・ありがとうございます」
そう言うとヒカリは笑った、ずっと俺が見たかった笑顔で。
・・・そうか、こいつは泣くんじゃなくって笑うのか。
いつだったか、自分がヒカリに言ったことを思い出す。泣いてるよりも笑ってるほうがいい、って。ヒカリがそれを覚えていたのかはわからない。だけど・・・
「・・・やっぱ面白えわ、お前」
「ちょ、ちょっと!面白いって・・・ふわっ!!」