第25章 見つけられたもの
「・・・ヒカリ」
目が赤い。頬に涙の跡がある。走ってきたのか肩で息をしている。
・・・それでも、ヒカリは来てくれた。
「あ、あの!え、えっと、私・・・」
周りの奴らも何事かとヒカリに注目し出した。
・・・今度は俺がこいつのために頑張らないといけない。
「ヒカリ」
「へ?!え、ちょ、ちょっと、あの、そ、宗介さん?!」
俺はヒカリの手を握ると凛のところまで行った。
「わりぃ、凛。俺、ちょっと抜けるわ」
「・・・」
凛は始め驚いた顔をしていたが、繋がれた俺とヒカリの手を見て、すべてわかってくれたようだった。
「・・・おう、行ってこい!・・・この!」
「いて、何すんだよ・・・ありがとな、凛」
ニカッと笑うついでに蹴りまでお見舞いしてくれた。
・・・思えばこいつは最初から、俺の気持ちも全部わかってたんだと思う。さすがガキの頃からのダチというべきか。
「行こう、ヒカリ」
「え?あ、あの、どこへ?」
「中はうるさそうだし、外行くか」
「へ?・・・あ、う・・・は、はい・・・」
戸惑っていたヒカリだったが、俺が握っている手に力を込めると、素直に頷いた。ヒカリの手を引いて、出口へと向かう。
「山崎せんぱーーーい!俺はずっとわかってたっすからねーー!!」
「こら、百くん、そういうことわざわざ言わないの!」
「え?!何?!あの二人、いつの間にそういう関係になってたの?!」
「お、俺、あの子密かに狙ってたんだけど・・・ショックだわ・・・」
「僻むな、僻むな!お前と山崎先輩とじゃどう考えても比べ物にならねえ!」
色んな奴らの声を背中に聞きながら、俺はヒカリと一緒に歩き続けた。