第25章 見つけられたもの
着替えを終えると、俺達は撤収作業に入った。観客席の荷物をまとめて、ロビーに一旦集合する。
御子柴や似鳥がずっとまとわりついてきたけど、前みたいにうるせえなと思うことはなくって、俺は穏やかな気持ちで一緒にリレーを泳いだ仲間との会話を楽しんでいた。
「みんな今日はお疲れ。よく頑張ったな。これから全員で一旦ホテルに帰る。その後・・・」
凛がみんなの前に立って、これからの予定を説明し出した。
「打ち上げとかないんすかね?!」
「もう、そんなのないよ。ていうか百くん、凛先輩が話してるんだから静かに!」
「ねえ、山崎先輩も打ち上げやりたいっすよね?」
「ああ、まあ、そうだな・・・」
似鳥の注意を無視してしゃべり続ける御子柴に適当に返事をする。
・・・やっぱり何をしててもあいつのことが気にかかる。あいつが俺のところに来てくれるかどうかが・・・
でも・・・それは無理かもしれない。確かに俺は見ててくれとお願いはしたけど、その後どうしてほしいとは一言も言ってない。
・・・・・・そうだな。もう遅かったのかもしれない。でもそれも全部俺が悪い。最初にあいつを拒んだのは俺なんだから。
・・・またあいつの顔が浮かんだ。ピーピーうるさく怒ってる顔、まるでガキみたいにぼろぼろと泣いてる顔、照れていちごみたいに赤くなった顔、そして・・・俺に向かってにっこりと笑った顔。
・・・もう全部諦めないといけない。あれから何度目になるかわからない胸の痛みを感じて大きく息を吐いた。
その時、ずっと待ち望んでいた声が俺の耳に飛び込んできた。
「宗介さんっ!!!」