第24章 地方大会・リレー
そのまま力強い泳ぎを続けて、わずかに怜先輩に遅れて宗介さんがタッチ。
最終泳者の遙先輩と、凛さんが勢いよく飛び込んでいく。
二人とも信じられないぐらいに速い。他の学校なんてまったく寄せ付けないで、ただひたすらに加速していく。みんなが繋いできた想いを全部乗せて、遙先輩も凛さんも泳ぐ、泳ぐ。
最初にあったわずかな差なんてもう関係ない。二人同時にターンに入る。
遙先輩、凛さんそれぞれに精一杯の声援が送られる。心臓の音がうるさい。心臓が飛び出そうなぐらいにドキンドキンと音を立てる。もうどちらが勝つとかそういう考えはどこかへ行ってしまっていて、私はただ祈るように二人の泳ぎを見つめていた。
だけど・・・勝敗の瞬間は訪れる。ほぼ同時にタッチしたように見えた。電光掲示板にみんなの視線が集まる。
・・・結果は岩鳶が1位、鮫柄が2位。
「やったわよ!全国大会進出!」
「やったー!やったよ、ヒカリちゃん!」
「・・・は、はい・・・や、やりましたね!」
まだ現実のこととして受け止められない。まるでずっと夢を見ているみたいだった。でも確かに私はリレーを見届けた。みんなで繋いで。仲間の想いに応えて、そうしたらまた仲間が応えてくれて。そんなリレーを私は確かに見ていた。
私が実際に泳いだわけじゃない。でも、はっきりとわかった。宗介さんはこのためにずっと泳ぎ続けていたんだって。肩が痛くても、ずっとこのために泳いでいたんだって。
ふと、プールの方に目をやると、宗介さんは凛さん、似鳥さん、百太郎くんと抱き合って、とても嬉しそうに笑っていた。
私も嬉しくなったけれど、なぜか笑顔になるよりも先に涙が溢れてきた。涙は溢れて溢れて止まらなかった。