第24章 地方大会・リレー
・・・時刻はもうすぐ15時。そろそろリレーの招集が始まる。
ドキンドキンと、少しずつ鼓動が高まっていく。遙先輩達のことももちろん心配だ。だけど・・・このリレーは宗介さんからも見ててほしいとお願いされた大切なリレーだ。一体このリレーで何がわかるんだろう、何が見えてくるんだろう、不安と期待とではやっぱり少しだけ不安の方が強い。
でも・・・ちゃんとみんなを見届けるんだ。みんなの気持ちに私も応えるんだ。
ぎゅっと手を握りしめて、その時がやってくるのを待つ。
『ただ今より、男子メドレーリレー400メートルの決勝を行います』
15時を過ぎて、ついに会場にアナウンスが流れる。食い入るように会場を覗きこむと・・・いた!遙先輩達4人とその前には宗介さん達。
「江先輩!来ました、遙先輩達!!・・・・・・!!」
「うんっ!さあ今日一番の声出して応援するよ!」
「は、はい・・・」
江先輩に話している途中で、私は宗介さんの肩が赤く腫れ上がっていることに気付いてしまった。やっぱり、肩はまだ治っていなかったんだ・・・しかもあんなに赤くなってて、相当痛いんじゃ・・・泳ぐことなんてできるんだろうか?
また不安な気持ちで心がいっぱいになる。だけど・・・『でも』とすぐに思い直す。宗介さんは『俺達のリレーを見ててくれ』って言った。私はその気持ちに応えると決めた。だったら私は信じなきゃいけない。何があっても宗介さんのことを。
・・・絶対に何があったとしても、私はこのリレーを目を逸らさないで見届ける。
そう決意を固めると、いよいよホイッスルが鳴って真琴先輩がプールの中へ。そして、スタートの合図と共にいよいよレースが始まった。
「百太郎くん・・・速い・・・!」
スタートしてまだ間もないのに一気に鮫柄に差をつけられてしまった。
「いいえ、真琴先輩の本来の速さはストローク。ストロークスピードは真琴先輩が上!!」
江先輩が言うように、真琴先輩は力強いストロークでどんどん鮫柄との差を縮めていく。再びターンで百太郎くんが追い付いてきたけれど、なんとかほぼ同時にタッチ。
そして、それを渚先輩が完璧に引き継ぐ。何度も何度も繰り返していた引き継ぎの練習。それがここで実を結んで、鮫柄との距離が一気に開く。